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伝えること、伝わるもの。

2012年6月29日(金)

定期的に通院されているAさんは、90歳代の女性の方です。

息子さんとお二人で生活されているとのことで、
いつも息子さんとご一緒に来院されます。

診察が終わり、息子さんが会計をお待ちの間、
Aさんは玄関付近の椅子に座っていらっしゃいました。

「Aさん、お疲れさまでした。終わられましたか。」と声をおかけすると、
「はい、終わりました。いつも気にかけてくれてありがとう。」と。

続けて、ご自身の想いを話して下さいました。

「私はね、幸せ者です。本当にそう思います。
 家でゆっくり息子とお茶を飲んでいるとね、息子が言うんです。

 『お母さんは言いたいことを我慢してため込むところがある。
 今から我慢することは何もないんだから、ちゃんとなんでも言ってよ。
 でも、そうやって我慢して自分で一生懸命頑張ってきたから
 今の生活があるっていうことには本当に感謝しているよ。
』ってねぇ。

 もう、その言葉だけで私にはなんにもいらない。十分、十分。」

 

ご来院の際、息子さんはいつもAさんを気遣い、
歩き方も会話もAさんのペースに合わせて対応されています。
ごくごく自然に。

そんなご様子を見ると、いつもあたたかい気持ちになります。

 

「時にはね、私が動くのが遅くて もたもたするからね、
 親子らしくビシっと言われることもあるけどね…。
 その後10分も経たないうちに、『お茶飲むか?』とか
 『トイレは大丈夫か?』と、私のご機嫌を伺うんですよ。

 ”あぁ~反省してるんだなぁ”って笑っちゃいます。」

そう言って微笑まれるAさんは、とても嬉しそうで、
やっぱりあたたかい方なんだなぁ~と感じました。

 

「感謝」は伝えることが大事。

でも、”親子”という関係では言葉にして伝えるのは照れくさいもの。

「ごめん」の言葉も伝えることが大事。

でも、”親子”という関係では、時には言葉がなくても
特別なその関係から気持ちが伝わることもある。

 

感謝も、お詫びも、お互いの信頼関係や絆によって
いろいろな表現方法があるものですね。

お二人のご様子から、そんなことを教えていただきました。

90歳代とは思えないほどプルプルのお肌のAさん。

笑顔がとってもとっても素敵でした。

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当院の玄関近くに
飾っている生け花です。

 

 

 

 

今朝、ご入院中の方がご家族と一緒にご覧になっていました。

「きれい…。 今を生きている。」 と。

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梅雨の晴れ間

2012年6月27日(水)

本日、こちらのお天気は…

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雲は多いですが、晴れています。

 

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梅雨の晴れ間、ですね。

車いすをご利用の方を お車までお送りしながら、
先日(6/5ブログ掲載)の患者さんとの会話を思い出しました。

 

「嫌いなことを『嫌い』と思うんじゃなくて、
 嫌いなことを前向きに受け止めることが大事」

普通の毎日、当たり前の生活の有り難さに感謝です。

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ICLS講習

新入職員の新卒看護師を対象に、院内で『ICLS講習』が行われました。

 

『ICLS』とは…
医療従事者のための蘇生トレーニングです。
緊急性の高い病態のうち、特に「突然の心肺停止に対する
最初の10分間の対応に適切なチーム蘇生」を習得することを
目標としています。

<日時>
2012年6月12日(火)  13:00~17:00

<参加者>
・ 新卒看護師  3名
・ 真庭消防署より救急救命士  1名
・ 医師  1名 (救急総括 木下医師)
・ 看護師  6名
  (救急部会のメンバー中心。うち、ICLS認定インストラクター 2名)

<プログラム>
13:00~       オリエンテーション
13:10~14:10   BLS (一次救命処置)
14:20~15:10   気道 ・ 輸液
15:20
~16:10   モニター
16:20~16:50   シミュレーション
16:50~       まとめ
17:00        終了

少人数であることや、半日のプログラムによって
知識も技術もしっかりと学ぶことができます。

 

まずは「BLS」の講習。
新卒看護師の3名は、BLSは学生の時に経験していることから
ためらうことなくできていました。

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でも、これからは
学生ではなく
看護のプロです。

周囲にいる先輩が
厳しくチェックします。

「ひじが曲がっている」
「胸骨圧迫が浅い。」
などなど。

 

 

”多くの目”で指導を受けることで、一度にたくさんのことを
吸収できます。
新卒看護師の彼女たちも、きっと”多くの芽”を持っています。

 

次に「気道・輸液」について。

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「さて、これは何でしょう」

「何のために使いますか」

「どのように使うのでしょう」

 

 

 

 

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意味、役割、使用方法の
一つ一つを学びます。

頭で考え、
目で見て、
体で覚え、
理解しながら
しっかりと確認します。

 

 

 

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医師が行う緊急の処置。

その時
看護師がするべき役割を
学びます。

 

 

 

 

 

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迅速に、

丁寧に、

確実に。

 

 

 

 

 

次は「モニター」について。

まずは先輩のデモンストレーションを見て学びます。

突然の心肺停止、もしも病院(入院中)で起こってしまったら…

「○○さん、大丈夫ですか、大丈夫ですか、
 意識なし、脈なし、呼吸なし。」

発見者の声かけ、状況判断から始まります。

次に、周囲の人に大きな声で
「医師・人(スタッフ)・AED・救急カート」を要請します。

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ハキハキとした大きな声。

迅速な対応。

 

チームワークが
求められます。

 

 

 

 

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胸骨圧迫は、
脳に血液を送るために
行います。

 

適度な力で
1分間に100回のペースで
絶え間なく。

 

 

 

胸骨圧迫は想像以上に体力が必要です。

時間の経過とともに”疲れ”が見えてくると、
胸骨圧迫が浅くなったり、ペースが遅くなってしまいます。

効果的な胸骨圧迫を継続するため、数人で交代しながら行います。

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モニターを読み取り
必要な処置を続けます。

 

 

 

このような一連の流れを行ったところでデモは終了し、
次は新卒看護師3名の出番です。

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まずは波形の種類を
学びます。

 

正確に読み取ることが
重要です。

 

 

 

そして、いよいよシミュレーション。

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初めてのことに
戸惑いながらも、
みんな真剣です。 

先輩スタッフに
アドバイスをもらいながら
処置にあたっています。

 

 

 

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知識を頭に詰め込み、
技術の一つ一つを
体で覚えます。

繰り返し行うことで、
その経験が積み重なり
少しでも自信となって
対応できるように…

 

 

 

「まとめ」の時間。

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「緊急の状況の中では
 一刻を争います。

いつ起こるか分からない
”その時”に備えて、
しっかり勉強して
これからも
頑張ってください。」

と木下医師。

 

 

3名の中には、現場で緊急の状況を経験した人もいました。

「先輩方の後ろでただただ見ることしかできませんでした。」と。

これからの業務では夜勤も入るようになります。

緊張の連続です。

そして、いざという時には、少ない人数のスタッフで
対応しなければなりません。

その時、責任を持って少しでも落ち着いて対応できるよう
今回の経験は必ず大きな力になると思います。

3名の感想からは「今日学んだことをしっかり復習して、
きちんとした対応ができるように頑張ります。」という言葉が聞かれ、
とても頼もしく感じました。

 

”人を育てる”ということは、優しさも厳しさも必要です。

指導を受ける側の人は、厳しいことが続くと喜びも楽しさも
感じられなくなってしまいます。

しかし指導をする側の人に、思いやりや愛情があれば
その厳しさもきちんと乗り越えられるのだと思います。

新卒看護師3名の皆さんに、「仕事、どう?」と尋ねると
「大変だけど楽しいです。先輩の姿勢全てが勉強になります。」と
笑顔で答えてくれました。

先輩の愛情は、しっかりと伝わっているんだな、と強く感じました。

 

そして私にとって今回の講習は、看護師の皆さんが
日々研鑽を積んでいることを改めて感じる時間となりました。

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「念のために連絡なんですが、    」

事務室にいた私が内線電話を取ると、
病棟看護師のAさんからの連絡でした。

「病棟担当のBさんはいますか?」

病棟を担当している事務スタッフBが不在だったため、
私が代わりに要件をお聞きしました。

看護師Aさんより
「ご入院中のCさんのご家族が今来られているんですけど、
 ご家族は遠方の方なんです。

 頻繁に来られるのは難しいので、
 もしも事務の方からご家族に何か用事があったらと思って
 連絡しました。 どうでしょうか?」

私は他のスタッフに確認後、
「今は特にないようです。 ご連絡ありがとうございました。」と
お返事して電話を切りました。

 

電話を切った後…

その何気ないAさんの気遣いに、対応に、感動しました。

私は思わず、事務室内にいたスタッフに話しました。

「病棟のAさんからの電話だったんですけど、
 ・・・・・・・ということで、事務室にもわざわざ確認の電話を
 してくださったんですよ! 見習いたい気遣いですね。」

そんな会話にもつながるほど、私には素敵な出来事のように
思えました。

 

自分たちの現場だけで捉えるのではなく、
”事務室からの用事はないかな” と、その先を思い浮かべる気持ちや
広い視野。

それは、患者さんやご家族のためにもつながることだと思います。

ほんの少しの気付きや気遣いが、
ご迷惑をおかけしないための ”防ぐ対応” にもつながります。

 

看護師Aさんにとっては、何気ないことだったのかもしれません。

何気ないことだからこそ、特別なことではないからこそ、
普段からのきめ細かい対応がうかがえたように思います。

 

思えば、、気遣いは色々なところにあります。

一人暮らしのご高齢の受診者に、
「寂しくなったらいつでもお話に来てくださいね。」と
毎回声をかけるスタッフ。

字を習ったことがないため、読めるけど書くことができないと
最初に一度だけ言われた方に、字を ”教える” のではなく、
さりげなく ”伝える” 工夫をしているスタッフ。

事務室に用事はなくても、近くを通りかかると必ず事務室に覘き、
「何か用事がありますか?」と声をかけ、何気ない一言で
スムーズな連携を図るスタッフ。

 

相手が患者さんであったり、ご家族であったり、
職員同士であったり、状況によって様々ですが、
どれも見習うべき思いやりです。

 

価値観は一人ひとり違うものですが、
素敵な価値観を見つけた時、触れた時に共感することはできます。

それを ”かたち” だけ真似をするのではなく、
”こころ” の部分を見習って、自分の表現でかたちにしていくと、
心のこもったたくさんのあたたかい対応に出会えるのではないかと
思いました。

 

まずは、自分の周りの素敵な価値観を見つけることから
始めてみてはいかがでしょうか。

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「梅雨って嫌い?」

2012年6月5日(火)

九州地方は梅雨入りしたようですね。

例年の梅雨入りの時期を考えると、この辺りももうすぐだと思います。

「梅雨」というと、じめじめとしたうっとうしい季節、
というイメージをもたれている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私もその一人です…。

何んとなく憂鬱に感じてしまいます。

 

Aさんと、そんな梅雨のお話をさせていただいた際、
とっても素敵なことを教えて下さいました。

Aさん: 「細田さん、梅雨って嫌い?」

私:   「そうですね…あんまり好きではないですね…。」

Aさん: 「あぁ~、やっぱりね。

      私も、自分が元気な時には梅雨が嫌いだったんよ。
      洗濯物は乾かないし、布団は干せないし、
      じめじめして掃除がはかどらないし、
      孫の学校の送り迎えをしなくちゃいけないし(笑)。

      主婦には辛い季節よねっ!!

      でも、発想の転換。

      雨の日が続くと、梅雨の晴れ間がどれほど有り難いか
      わかるでしょ。

      それと同じで、自分が病気で倒れると、
      健康であることがどれほど有り難いかわかるのよ。

      病室のベッドから眺めていた空が、ちょうど梅雨の時期。

      晴れ間の澄んだ空気、暖かい陽ざし、
      空も雲も本当にきれいだった…

      若くて元気な時には気付かないことがいっぱいあるけど、
      嫌いなことを『嫌い』と思うんじゃなくて、
      嫌いなことを前向きに受け止めることが大事ってことよ!!」

 

Aさんの笑顔とお言葉が心に響きました。

私は、受診される皆さまから教えていただくこと、
気付かせていただくことがたくさんあります。

このおようなお話をいただけるのも、本当に素敵なことです。

いつもありがとうございます。

 

考え方、捉え方次第で、明るくもなり、前向きにもなれるということ、
心にしっかり刻んでおきたいと思います。

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