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粋なはからい

2009年6月23日(火)

ご高齢のAさんは、月に一度 ご家族の方と一緒に来院されています。

「あんたと話ができるのが楽しみじゃわぁ。」

と、いつも手を握ってお話をしてくださいます。

Aさんとお話をさせていただくのも、ご家族とお話をさせていただくのも、どちらも私にとっては かけがえのない時間です。 

本日の受診が終わり 会計を待たれている際に声をおかけしました。

私: 「診察が終わられたんですね、お疲れ様でした。」

すると、ご家族の方がこのようにお話してくださいました。

 

「今日の診察では とっても嬉しいことがあったんですよ~。

おばあちゃん(Aさん)の病気は、生の野菜を控えないといけないという制限があるんです。

週に2~3回デイサービスに行っているんですけど、他の人と比べて自分の食事にトマトがついていないのが寂しいと、その都度 口にしていました。

でもそれは仕方のないことだからと、おばあちゃんも私たちもわかっているんです。

おばあちゃんもわかっていながら、その何気ない話を先生に伝えたんです。

『先生、トマトは赤いけぇ目につくんじゃ。

欲しいとは思っても私のお皿にはないし、施設の人も責任があるからくださらんのんです。』

と言うと、先生がこう言われました。

『Aさんは今 血液検査の数値も良いし、デイサービスの食事で出るトマトくらいみんなと同じように食べても大丈夫ですよ。』

こう言われて喜ぶおばあちゃんを見て、私も嬉しくなりました。

 

普通ならこここで終わりだと思いますが、先生は更に粋なはからいをしてくれました!!

『私が責任を持つから大丈夫。』

と言って、メモ用紙を手にとって その場で一筆書いてくれたんですよ。

その紙を施設の方に渡せば信用してくれるだろうからと、おばあちゃんにくださいました。

紹介状や診断書のように形式ある書類ではなく、先生の想いが詰まったその一枚のメモ用紙が本当に嬉しかったです。

私は感動しました!!」

 

と、本当に本当に嬉しそうにお話してくださいました。

診察室内での ちょっとしたできごとは、診察室から出て Aさんとご家族の想いと共に、大きな感動となって私の心に届きました。

お二人の笑顔を見ると”粋なはからい”の大きさがわかります。

 

「私のお皿にもトマトがつくなぁ。

これからトマトが美味しい時期になるけぇ嬉しいわ。」

と、とても楽しみにされ、そしてご家族の方は「先生のご好意を無駄にしないように、食べすぎには注意してコントロールしていきます。」と、言われていました。

 

今までご家庭でも施設でも控えておられたトマトの味、Aさんはしっかりと噛み締められることでしょう。

次回お二人にお会いするときに広がるトマトの会話、今からとっても楽しみにしています。

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ラブレター

2009年6月11日(木)

いつも一緒に受診に来られる70歳代のAさんご夫婦。

奥様は車いすを利用されているので、ご来院の際にはお手伝いをさせていただいたり、診察を終えてタクシーを待たれている少しのお時間にも様々なお話をさせていただいています。

 

昨年のことです。

夏の終わりごろ、お二人との会話で野菜の話題になりました。

季節の野菜や料理方法など、楽しくお話をさせていただいたことを覚えています。

私: 「ある野菜は料理のレパートリーが少なくて同じようなおかずになってしまうんです。」

ご夫婦: 「そうそう、私もその野菜を料理に使うときには困りますよ。あなたの倍以上も歳を重ねて台所に立っているけど、悩みは同じじゃなぁ。」

とお話をさせていただきました。

そんな会話も私にとっては大切な時間です。

 

本日、お二人が1ヶ月ぶりの定期受診に来られ、いつものように玄関先でお出迎えをさせていただきました。

タクシーから降りたお二人は いつになく明るい笑顔です。

するとご主人は 「今日は細田さんにラブレターがあるんじゃ。」 と、カバンの中から封筒を取り出し、渡してくださいました。

中を開くと、昨年お話をさせていただいた野菜のレシピが何種類も紹介されている”レシピ集”でした。

「家族がインターネットで調べて、あなたにと言って印刷してくれたんじゃ。

お互いに作ってみようで!!」

と。

昨年からずっと気にかけてくださっていたとお聞きし、喜びも1年分です。

次回ご来院の際には、料理の感想でお話をさせていただけることを楽しみにしています。

 

Aさんご夫婦は いつもお二人で来院されているので、私はご家族にお会いしたことがありません。

お二人が昨年のことを覚えてくださっていたことだけでも大変嬉しく、その上 今までお会いしたことがないご家族の方にまで心を届けていただき、本当に嬉しく思いました。

 

このように多くの皆さまに支えていただきながら今があるのだと実感します。

いつもありがとうございます。

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時間

2009年6月2日(火)

6月に入りましたね、また新しい月の始まりです。

月日が経つのは早いものです。

 

おかげ様でコンシェルジュ日記の記事は200件を超えました。

いつもお読みいただいている皆さま、誠にありがとうございます。

こうして日にちや件数が数字で表されると、”時間は確実に流れているんだなぁ。”と感じます。

 

時間に関することで、先日 大変嬉しい出来事がありました。

それは、あるご夫婦との出会いです。

 

今から約2年前、ご高齢のAさんがご入院されていました。

あるご夫婦とは、Aさんの娘様とご主人です。

当院からは車で2時間ほどかかる遠方にお住まいで、Aさんが入院されている時には本当に献身的にご面会に来られていました。

そのことがきっかけでお話をさせていただくようになり、来院されるたびに私のことを気にかけてくださっていました。

病棟看護師の対応や廊下に生けてあるお花にお褒めの言葉をいただくなど、ほんのささいなこと、何気ない小さなことにも目を向けて、いつも声をかけてくださっていました。また 時には率直な想いとして、厳しいお言葉をいただくこともありましたが、そのお言葉からは愛情も感じることができました。

 

そして、入退院を繰り返されていたAさんは今から1年ほど前にお亡くなりになりました。

それ以来、お二人が当院に来られることはなくなりました。一緒にお話をさせていただいた花や空の色を見ると時々思い出すこともあり、お二人がお元気にされているのだろうかと気になっていました。

 

先日のことです。

下を向いて書き物をしていた私に「細田さん。」と声をかけてくださり、顔を上げると懐かしい笑顔のご主人が立っていました。

「お久しぶりです!! お元気ですか?!」

驚きと嬉しさのあまり、思わず声が少々大きくなってしまったことをハッキリと覚えています。

すぐに奥様も来られ、「お元気そうですね。」と優しい笑顔を向けてくださいました。

 

「やっと会えました。

その節には本当にお世話になりました。

あれから1年経ちますが、細田さんにはいろいろと気にかけていただいたのに、きちんとお礼も伝えられないままになっていたので ずっと気になっていたんです。

金田病院に直接用事があったわけではありませんが、こちらを通る便には”もしかしたら”と思い、何度か寄っていました。でも、ほとんどが休日の日だったので会えずにいました。

今日はやっと会えて、こうして直接お礼をお伝えできて本当に良かったです。」

と言ってくださいました。

お会いできただけでも胸がいっぱいになっているのに、こんなにあたたかいお言葉までいただき、感動でいっぱいです。

 

お急ぎのご様子だったので、お話をさせていただいたのは ほんの数分ほどでしたが、お変わりないお二人のご様子を本当に嬉しく思いました。

お帰りの際には 「また寄らせていただきますね。」 と言われ、私は病院という場所にもかかわらず、思わず 「はい、またお会いできる日を楽しみにしています。」 と言ってしまいました。

 

お二人との出会いは、1年という時間を経てよりいっそう輝きを増し、大切なものになっていることを実感しました。

わざわざ足をお運びくださり、本当にありがとうございました。

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