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見過ごしていること

2007年12月17日(月)

 当院に何年もの間 定期的に通院されているAさん。私が直接 ご要望をお伺いするのは本日が初めてでした。

 Aさんは受付の前にいらっしゃいましたが、大変込み合っていたため 私がお話をお伺いしようと声をお掛けしました。

「お待たせしております、私がご用件をお伺いいたします。」

…お答えはありません。もう一度 同じように声をお掛けしましたが、Aさんの反応に変わりはありません。受付スタッフではない私がお話を伺うことに 不信感をお持ちなのではないかと思い、それ以上 声をお掛けすることに躊躇してしまいましたが、Aさんが身振りで何かを伝えてくださいました。 

 私はその時 初めて、Aさんは耳がご不自由であることを知りました。

 Aさんはいつも お一人で来院され、診察や会計もスムーズに終えて帰られています。その為、私がお手伝いをさせていただいたことは 今までに一度もありませんでした。

 ご用件は、バスの時刻のお尋ねでした。Aさんにわかりやすいよう筆談でお伝えしました。私は Aさんがお帰りになるまでの間 ご不便なことはないかと気にかけながら業務にあたりました。そこで あることに気付きました。

 それは、Aさんが当院に受診される中で 特別不便に感じることはないということです。(ご本人も そのように言われています) なぜなら、受付や会計スタッフ・受診科の看護師は Aさんの状態を当然 把握しており、不便のないよう適切な対応をさせていただくからです。共有の情報として、きちんと把握しておかなければならなかったことを反省し、今後の改善につなげていきたいと思います。

 私が今までにしていたことは、お手伝いを必要とされている方には積極的に働きかけ、そうでない方は 見過ごしているのだと痛感しました。この度の件で、私は大切な大切な気付きを与えていただいたと思います。

 ご来院の皆さまと適度な距離を保ちながら、お一人おひとりの関わりを大切にしていきたいと思いました。 ありがとうございました。

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”合わせる”ということ

2007年12月10日(月)

 足のご不自由な方がタクシーを利用して お一人で来院され、私は玄関先で 「車いすをお持ちいたしましょうか。」 と声をお掛けしました。

お答えはこうでした。 「いえ、もともと足に痛みがあるのですが今日は座ったほうが痛いんです。何とか一人で歩きますから大丈夫ですよ。」 

 そこで私は 「差し支えなければ私の腕を支えにしていただいてもかまいませんが、どのようにして歩かれるのが一番よろしいでしょうか。」と、望まれているお手伝いにお応え出来るよう声をお掛けしました。

 腕を組むのが歩きやすいとのことで、私の腕を支えにしていただきました。 こちらの方が歩かれる際にご迷惑にならないようにと、歩幅・スピード・タイミングなど 足元に気をつけながら歩いていました。そのため私は ”合わせる” ことを意識し過ぎていたように思います。

 気付けば、こちらの方は しっかりと顔を上げて周囲を確認しながら歩かれていました。私も 周囲への目配りをしていなかったわけではありませんが、きっと十分ではなかったと思います。

 そのことに気付いたとき、私は自分の視野の狭さを知り、私のベクトルでしか行動できていないことを知りました。

 このたびの経験から、『相手の方に合わせるということは 相手の方だけに合わせるのではなく、周囲の状況を考慮しながら行動できてこそ、安全で安心できるお手伝いをさせていただける』 と学ぶことができました。貴重な経験をさせていただきました。

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『大丈夫ですからね』

2007年12月7日(金)

 玄関先に一台のお車が到着しました。私が玄関先に出ると、付き添いの方が慌てた様子で降りて来られました。お車の中には、足の痛みを訴えて うづくまっている方がいらっっしゃいます。

痛みが激しいため ご本人は車の中で動きがとれないご様子です。ご家族は 「とにかく痛がっているんです。どこが痛いのかわかりません。どこを触って動かしたら良いのかわかりません。とにかく痛がっていて、私たちにはどうしたら良いのかわかりません。お願いします、お願いします。」と、慌てたご様子です。

 私は、院内PHSですぐに看護師に連絡を取りました。緊急性があると判断した看護師は 迅速な対応で処置に向かいました。その後 状況が落ち着いてから、ご家族の方が私にこのようなお話をしてくださいました。

「私たちでは何もできず、とても不安な思いで病院に来たので 素早い連携と対応をしていただいて すごく安心できました。

看護師さんは、慌てていて落ち着きのない私たちに 『大丈夫ですからね』 と、繰り返し声をかけてくださいました。初めは動揺していましたが、度々 声をかけていただいたことで 少しずつ落ち着くことができました。」

 私は、このお言葉から気付いたことがあります。 来院時、ご家族の方が動揺されていることはわかりました。私は、処置を看護師に任せたことで私自身が安心していたのだと思います。しかし、その後の ご家族への配慮こそ、私がするべき対応であったと思います。少しでも落ち着いていただけるような、安心していただけるような対応をしなければいけなかったと思います。

 私の未熟な点に気付くことができたと同時に、ご家族の方から また 看護師から、大切なことを気付かせていただきました。今後 同じような場面に出会ったときには この度の経験をきちんと活かしていきたいと思います。 

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ものさし

2007年12月4日(火)

 先日、私の知人から とても貴重な話を聞きました。私は 自分自身の仕事と重ね合わせながら深く考えることができました。

 彼女は 自分の症状にとても不安を抱えていて、病院への受診を決めました。彼女の自宅近くにはいくつかの病院がありますが、選んだのは車で約40分ほどの個人病院でした。 「多少 遠くても安心できる病院に行きたい。」と彼女は言います。

 私は 彼女が意味する”安心”とは何かを尋ねました。

「最初にその病院を知ったのは、偶然 友人が通院していることがわかったからだったんだけど、先生のこと・診察や検査のこと・環境のこと・いろいろな情報を聞いて 良いところや悪いところをいくつかの病院と比較しながら考えて決めたよ。

 初めて診察に行ったときには 緊張と不安で先生には聞きたいことの半分くらいしか話せなかった。”こんなもんかぁ…”と思っていたけど、帰る前に フロアにいたスタッフが私に声をかけてくれたの。

『○○さんですね、お疲れ様でした。本日の診察は 安心や満足のできる内容だったでしょうか。何かご不満や聞きたいことはありませんか。』

 診察が終わって”あれも聞きたかった、これも尋ねてみれば良かった”と思っていたから、私に向き合ってくれているその人にいろんなことを話した。その時にゆっくり話を聞いてもらえたのですごく安心できたよ。その人は、様子を聞いたりお手伝いをする フロアスタッフで、最初はそんな役割の人が病院にいるなんて知らずに選んだけど、何よりも安心につながった

しばらく通院することになったから、今度はその人に聞きたいことがいっぱいあるよ!!」

 と話してくれました。知人の話を聞き、そちらの病院にいらっしゃるフロアスタッフが どれほど期待され 信頼されているのかが伝わってきました。そして、患者さまの心を満たす 重要な役割を果たしていると感じました。(少なくとも知人の思いは強く伝わってきました)そこで私は 自分の役割に置き換えて考えました。

 金田病院での私の役割が どれほど皆さまのお役に立てているのか、どれほど必要とされているのか、どれほど安心をお届けできているのか…。正確に計れるものさしはありません。そのため 自分自身に迷いや不安が生まれることもあります。

 しかし「ありがとう」や「助かります」など 直接いただく言葉は、純粋に嬉しく 心に響きます。その積み重ねを大切にして、皆さまに愛され 必要とされるよう頑張りたいと 心からそう思いました。

 そして、少しでも安心につながる存在だと思っていただけたら、 病院コンシェルジュとして この上ない喜びだと感じています…

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特権

2007年11月28日(水)

 ご入院中の方より 病院食についてのご意見をいただきました。

「病院の方(管理栄養士・調理師など)は、一度の食事で色々な内容の食事を作っていて大変ですね。

私は普通食をいただいているけど、病気で入院されている人は カロリー計算をしている食事や 食べやすいように小さく刻んでいる食事…本当に様々ですよね。

たくさんの人の口に入るぶん、たくさんの人に味の評価もされるから大変だと思います。皆さんが大変な思いをしていることに気付いたので、私は毎食 毎食 感謝しながらいただいています。そのことは、入院しているからこそ気付けたような気がします。

今までは当たり前に食べていたし、時には家族が作ってくれた食事に対して文句まで言っていました。それが今は、この病院での食事をしている人の中で、一人でも多くの人が 食に対する感謝の思いを持って食べていると良いなぁと思っています。」

 このようなお言葉をいただき、『私は食事に対して、物事に対して、”当たり前”のように過ごしてはいないだろうか…』と 自分自身を振り返りました。

 ご来院の皆さまとの関わりは、私が見過ごしてきたことや 気付けなかったこと また原点に立つことのできる大切な大切な機会です。生の声を直接いただけることは、現場にいる私の特権であり、それを伝えることは役割の一つだと思います。

 私が 人として、コンシェルジュとして、皆さまに成長させていただいていることを感じる瞬間でした。ありがとうございます。

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安心の原点

2007年11月27日(火)

 定期的に受診されているAさんは、足が少しご不自由なため 杖を利用されています。院内では お一人でゆっくりと歩かれていますが、薬局に行かれるときには私が車いすでお送りさせていただきます。(当院から最寄りの薬局です) 何度も通院されているうちに Aさんと私の間には 自然とこのような流れができていました。

 そして本日 受診されたときに このようなお言葉をいただきました。

「院内での移動も楽ではないけれど、リハビリも兼ねて自分なりに頑張っています。 ”頑張ればあなたに頼れる、頼れるから頑張れる” という気持ちでいます。

時には ”わがままな おばぁさんだな~” と気を悪くすることがあるかもしれないけど、許してくださいね。」

 私は 頼りにしてくださっていることが嬉しい反面、複雑な気持ちになりました。それは、私の行動に思い当たることがあるからです。

 Aさんはいつも、来院されるとすぐに 「今日もお願いしますね。」 と声をかけに来てくださいます。 本日も気にかけてくださっていましたが、私はご案内やお手伝いが重なっていたためAさんとお話ができずにいました。そのような中で 私はAさんと目を合わせて会釈をしました。

 その後、Aさんが会計を済まされたのを確認して 車いすをお持ちしました。Aさんは少し驚いたご様子でした。そして薬局までの道のりで 先ほどのようなお言葉をいただいたのです。

 そこで初めてAさんのお気持ちがわかったような気がしました。きっとAさんは、バタバタと動いている私に ”自分が受診に来ていることをわかっているのだろうか” という不安を、少なからず抱かれていたと思います。 会計後、いつもと同じように車いすをお持ちした私に ”気付いていたの” と思われたのかもしれません。

 私は Aさんと会釈をしていたことで、いつもの流れができているつもりになっていました。しかし、いつもの流れととらえていたのは私の思い込みに過ぎません。お話が出来ていないからこそ、きちんと声をお掛けして安心していただく努力をしなければいけなかったのだと気付きました。

 今後は安心の原点を考えた対応を心掛けたいと思います。

 

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見て見ぬふりをすることと同じ

2007年11月16日(金)

 車いすをご利用の方が お一人で玄関の近く(院内)にいらっしゃいました。ご家族の方は薬局に行かれているとのことをお聞きし、しばらくこちらで待たれることがわかりました。玄関の近くでは寒いのではないかと思い、場所を移動されてはどうかと声をお掛けしました。

「ありがとう。車いすに乗り慣れなくて一人での移動は難しいなぁと思っていたところなんです。助かりました。」

お手伝いをさせていただいた後に このようなお言葉をいただきました。

 私は こちらの方が玄関にお一人でいらっしゃることに気付いたとき、少しの間 声をお掛けすることに迷っていました。年齢や見た目のご様子から ”お一人で移動される” と思い込んでいたからです。

 今 振り返ると、声をお掛けしなかった私の行動は ”寒い時にはご自分で移動されるだろう” と、見て見ぬふりをすることと同じだと思いました。

 結果的には声をお掛けしたことが良い方向に進みましたが、見た目の判断や思い込みは様々な意味で 危険だと思いました。 今回の場合は、緊急性や重大性に関わる出来事ではありません。しかし 安全・安心をご提供する上で、日ごろの意識が大切なのだと思いました。

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小さなことの積み重ね

2007年11月15日(木)

 お見舞いに来られた方から病室のお尋ねをいただき、私はいつものように病棟エレベーター前までご案内しました。 その際に このような会話を耳にしました。(お見舞いに来られたのは高齢のご夫婦です)

奥さま: 「文字が見える?大丈夫?」

ご主人: 「エレベーターを降りたら何とかなるだろう。」

 その会話をヒントに私はお部屋までご案内させていただきました。ご案内の間にお話をさせていただくことで、いくつかの情報を得ることができました。

・ご主人は目が見えにくいこと

・奥様は腰が曲がっておられ、見上げるのが困難なこと

・初めて訪れる病院に対しての不安

・遠くから来院されていること(車で約1時間の距離)

 など

声をお掛けする上で、またお手伝いをさせていただく上で とても大切な情報です。そして ”面会後、玄関まで戻れるか不安” とお話くださっていました。私は 「お戻りの際にも私が参りますので、ナースステーションで声をかけてください。」 とお伝えしました。 このような状況をナースステーションにも伝え、私への連絡をお願いしました。

その後しばらくして ご夫婦は看護師と一緒に玄関へ戻って来られました。

「ナースステーションで ”あなた(私)に連絡をお願いします” と声をかけたら、『はい、伺っています。私が玄関までご案内しますね。』と 気持ち良くここまで案内してくれました。みなさん親切で気持ち良いですね。」

と、大変嬉しいご意見をくださいました。お見舞いに来られたご夫婦が、思いがけない喜びや感動を味わったことは、そのご様子から伝わってきました。

 私だけの対応では決してこのように感動していただくことはできなかったと思います。 小さなことの積み重ねは 大きな喜びや感動につながることを強く感じました。

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